印象が薄かった理由

nostalji2014-05-19

YouTubeでマカロニ西部劇『荒野のみな殺し』(1966年/監督:ジョゼフ・ウォレン)を観る。リアルタイムに劇場で観て以来の再見です。カルトなマカロニファンが意外と高い評価をしていたので、一番気になっていた作品ね。昨日の『皆殺し無頼』と違って、殆ど記憶に残っていないんですよ。『荒野の用心棒』から、『ワイアット・アープ』を除いてリアルタイムでマカロニウエスタンを観てきた私が最初にガッカリしたマカロニという記憶しかありません。
父を殺されたノーマン(ジャック・スチュアート)が、父の死に際の言葉で、父の戦友だったフランク(ダン・ヴァルガス)とローガン(ホセ・トレス)に協力を頼み、父親の上官だった元南軍のクック大佐を捜しに行きます。途中でウイスキー行商人のフォーラン(ディック・レーガン)が加わり、クック大佐が住む町にやってきますが、そこには男たちの姿はなく怯えきった女や子どもばかり。ジェニー(ジア・アーレン)という酒場の女主人からラモン(ダン・ヴァディス)を頭とする山賊の一団が町を襲い、クック大佐や町の男たちを人質として連れ去ったことを聞きます。ノーマンはラモンから逃れてきたロージー(ロージー・ジチェル)という女からラモンの隠れ家を教わると、一味が再び町にやって来た隙にクック大佐(ジョン・マクダグラス)を救出。ラモンはフランクたちに不意打ちをくらい退却しますが、隠れ家に戻ると態勢を整え、大佐が隠している南軍資金10万ドルを夜明けまでに渡さないと町の者を皆殺しにすると通告してきます。翌朝、ラモン一味が町を襲撃し……
最後に生き残っているのが、主人公と数人の老婆と子供だけというマカロニらしい展開で、単独で観賞すると確かにそれなりに評価できます。だけど、一連のブームの中では主人公が全く魅力ないんですな。マカロニヒーローの魅力は、一人で大勢の悪党たちを撃ちたおしていくところにあったんですが、主人公のノーマンは大佐を救出する時にロープで手を切ってしまって銃がもてなくなり、肝心のクライマックスの銃撃戦では何もできないていたらく。ラモン一人となったところで、ノコノコでてきて、ヤケのヤンパチでやっつけるといった感じなんです。女・子供も関係なく平気で殺し、金を独り占めするためには手下をも撃ち殺すというラモンの悪逆非道ぶりが見せ場なのでしょうが、ジャン・マリア・ボロンテのような役者としての灰汁の強さがダン・ヴァディスに不足していて、これまた一連のブームの中で印象を弱めました。
画像は、『荒野のみな殺し』のレコードジャケット。ブームの時には、多くのマカロニ主題歌がヒットしましたが、インパクトのない曲で話題になりませんでした。日本でのみ発売された謎のサントラで〜す。