魅力的キャラ

nostalji2013-04-18

高田崇史:著の『QED・御霊将門』(講談社:2006年10月5日第1刷発行)を読了。殺人事件は出てこず、平将門怨霊伝説を探る純粋歴史ミステリーです。奈々・沙織の棚旗姉妹と桑原崇(ワトソンとホームズね)のシリーズコンビが、神田明神・将門首塚をかわきりに茨木県から成田山新勝寺まで将門名所を行脚して怨霊から御霊になったことを推理していきます。
将門は天皇に対して新皇を名乗ったことで戦前は大悪人の評価でしたが、死後、色々な所で祀られていることでわかるように、民衆に人気があったのと、権力者も将門に対して後ろめたいことがあったことがわかります。将門鉄人伝説というのがあって、当時の鎧は一般に皮製だったのですが、将門は砂鉄から鉄の鎧を着けていたという解釈は面白いです。将門を祀っている神田明神の神田は、かんだ←がんち←かぬち(鍛冶)からきているんだってさ。所領から産出される名馬と、鉄製の武器で身をかためて不死身のごとく敵を粉砕したんですな。将門の首をとった藤原秀郷(俵藤太)の俵藤太伝説に将門鉄人伝説が出てくるのですが、藤太は将門の愛妾から「その身、ことごとく鉄だが、こめかみ一ヵ所だけが生身である」ということを聞きだし、将門のこめかみを矢で射って倒すのね。まるで、ニーベルンゲンのジークフリードみたい。実際に将門の最期は、こめかみに矢が当たって死ぬのです。
NHK大河の『風と雲と虹と』があるくらいで、平将門に関して映像化されたものは殆どないのが寂しいですね。同時代には、西国で反乱をおこした藤原純友や、大ムカデ退治の伝説がある将門討伐の藤原秀郷もいて、ドラマ化するにはキャラは不足しないんですけどねェ。