歌舞伎調

nostalji2013-04-19

録画保存していた時代劇映画『危し!伊達六十二万石』(1957年・新東宝/監督:山田達雄)を観る。江戸家老原田甲斐嵐寛寿郎)の策謀によって乱行を続ける藩主・伊達綱宗(中村竜三郎)が幕府から隠居を命じられるんですな。家督は幼少の亀千代(太田博之)が継ぐのですが、甲斐は分家の伊達兵部の子・市正を当主に迎えるべく大老・酒井雅楽頭に手をまわします。老臣・伊達安芸(高田稔)は、白河主殿(沼田曜一)と松前鉄之助(明智十三郎)を江戸に派遣しますが、主殿は暗殺され、甲斐を探っていた腰元・お糸(北沢典子)も殺されるのね。一方、甲斐も亀千代毒殺に失敗し、安芸は大目付・板倉内膳正(中山昭二)に甲斐の横暴逆意を訴えます。幕府による評定が酒井の屋敷で開かれることになり……
歌舞伎の『伽羅先代萩』を基にしており、主殿の妻で亀千代の世話をする浅岡(日比野恵子)の子・千代松が亀千代の身代わりに毒饅頭を食べたり、ネズミに変身した忍者が鉄之助の鉄扇に打たれたりと、有名な歌舞伎の場面が出てきます。悪事が露見して刃傷におよぶラストの大立回りも、アラカンは歌舞伎を意識した重厚な動きをしていますね。山田達雄の演出も拍子木ではじまり、合間に長唄を入れ、拍子木で終わるという歌舞伎の様式を取り入れています。考証的にはついていけない話なんですが、そうすることによって歌舞伎の現代訳にしたんですな。