最後は

nostalji2018-01-21

みなもと太郎:著の『風雲児たち』(潮出版社の希望コミックス)の第10〜12巻を読了。大黒屋光太夫の物語(嵐のために漂流してロシアに行ったところまで)と並行して田沼意次失脚までが描かれています。
田沼意次といえば私の子供の頃は賄賂政治の悪玉として描かれていましたが、最近は評価が逆転していますね。著者も農業主体から商工業主体の経済政策によって幕府の財政を建て直そうとした人物として描いています。逆に“寛政の改革”で名をはせた松平定信の評価は大幅ダウン。質素倹約政策は庶民の反感を買い、「海国兵談」で国防の危機を説いた林子平に蟄居を命じ、田沼時代の蝦夷地開拓政策を放棄、蘭学を排除するなど、結果として幕府の海外の備えを怠らせることになったんですな。“寛政の改悪”です。光太夫が日本に帰ってきたのは、定信が失脚した時なので、まだ先のこと。
明治維新といえば、アヘン戦争やペリー来航から語られることが殆どですが、著者は壮大な歴史の中に維新をとらえようとしており、そこらの歴史家より鋭い視点を持っています。マンガと侮るなかれです。
続きは機会があれば読むことにして(幕末編まで含めて全巻揃えると結構な金になるので)、これまでにいたしましょう。