ＤＶＤで『パーマーの危機脱出』（1966年／監督：ガイ・ハミルトン）を観る。レン・デイトンの本格的スパイ小説『ベルリンの葬送』の映画化。
東ベルリンにいるロシアの諜報将校ストック大佐（オスカー・ホモルカ）が亡命を希望しているとのことで、ロス大佐（ガイ・ドールマン）に命じられて英国情報部員ハリー・パーマー（マイケル・ケイン）はベルリンにむかいます。ベルリン支局のバルカン（ポール・ハブシュミット）の協力でストック大佐と会い、亡命の意志を確認。西ベルリンに戻ったパーマーに謎の女サマンサ（エバ・レンツィ）が近づいてきます。サマンサはイスラエルの情報部員で、名を変えてイギリス情報部にいるナチの戦犯を捜していたんですな。パーマーは凄腕の脱出屋クロイツマンにストックの亡命を依頼。クロイツマンは２万ドルの報酬と、ある書類を要求。ロス大佐はそれを了承。クロイツマンは東ベルリンで名もない老人を殺し、西ベルリンで葬式を行うことにして棺をすりかえ、ストックを西ベルリンに脱出させるのですが、棺に入っていたのはクロイツマンの死体。バルカンがパーマーを殴り倒してクロイツマンが要求していた書類を持って逃げますが……
００７シリーズのガイ・ハミルトンが監督していますが、派手なアクションシーンはありません。それでも、前作ではひとりでコーヒーを入れていたオープニングが、今回は夜を共にした女の子にコーヒーを入れさせているというボンド風。パーマーに絡むエバ・レンツィも魅力的。でも、スパイ間の腹の探り合いが本作の持ち味。ストックの亡命は偽装で、ロシアの要人を亡命させる脱出屋の仕末が目的だったんですな。パーマーは英国情報員となっているナチの戦犯を、イスラエル情報部を使って密かに抹殺。マイケル・ケインのポーカーフェース的面白さで本格的スパイ映画のムード満点で～す。
