週に一度は西部劇

録画保存していた『馬上の二人』(1961年/監督:ジョン・フォード)を再見。西部劇の名匠ジョン・フォードがサタデイ・イブニング・ポストに連載されたウィル・クックの原作を映画化した作品。

テキサス・タスコサの町の保安官ガスリー・マケーブ(ジェームズ・スチュアート)は、グランド砦の司令官フレイザー少佐(ジョン・マッキンタイア)の命令を受けてやってきた旧友のジム・ゲイリー中尉(リチャード・ウィドマーク)と、コマンチ族に拉致された白人の救出に行くことになります。弟を捜すマーティ(シャーリー・ジョーンズ)など家族を拉致された捜索隊も同行。コマンチのキャンプで白人を見つけた二人はクアナ・パーカー酋長(ヘンリー・ブランドン)と取引をして、ストーン・カーフ(ウッディ・ストロード)の妻となっていたエレナ(リンダ・クリスタル)と、今ではすっかりコマンチになっていたウルフという若者(デビッド・ケント)を連れ帰ります。精神に異常をきたしているマッケンドレス夫人(ジャネット・ノーラン)がウルフを我が子と信じてまつわりつき、ウルフに殺されたことから……

拉致帰還者への蔑視という重いテーマですが、ジミーとウィドマークの軽妙なやりとりでオブラートに包んでいます。原作はもっと重苦しいような気がしますね。再見して感じたのですが、原題の「Two Rode Together」は、表面的にはジミーとウィドマークの道行を指していますが、ラストで結ばれるウィドマークとシャーリー・ジョーンズ、ジミーとリンダ・クリスタルの今後の道行も指していると思います。殺人を犯して吊るし首されたウルフが弟とわかり、心に深い傷を負ったシャーリー・ジョーンズを支えるウィドマークと、コマンチの女という噂に傷つくリンダ・クリスタルを支えるジミーの人生の道行ね。

シリアスな内容とコミカルな部分のバランスがよく、フォードらしい味のある演出で満足なのですが、気に入らないのは、リンダ・クリスタルを取り返しにきたウッディ・ストロードがジミーにあっさり撃ち殺されるところ。『レッド・ムーン』のごとく、妻を奪われたコマンチの猛将との死闘が描かれないと面白くありません。リンダ・クリスタルに恐怖を与えてこそ、クリスタルが思わずコマンチの儀式をして死んだストロードの魂を癒すシーンが活きてくるような気がしま~す。