人情時代劇も好いもんだ

nostalji2008-12-24

放ったらかしビデオの中身確認のために再生した『冷飯とおさんとちゃん』(1965年・東映/監督:田坂具隆)を観る。山本周五郎の短編小説「冷飯物語」「おさん」「ちゃん」を中村錦之助主演でオムニバス映画化した作品です。
「冷飯物語」は、下級武士の四男坊が武家娘(入江若葉)に恋をするが、部屋住みの身分のため嫁にもらうことができないんですな。その境遇に不満をもちながらも卑屈にならず、趣味の古書収集が身を助けるというハートウォーミングな話です。ご都合主義的な内容なのですが、錦之助の演技がよく、傍役人も皆巧くて、観ていて心が和み、満足、満足です。
「おさん」は、ニンフォマニアの妻(新珠三千代)と別れて旅に出た男が、妻を愛していたことを悟り、江戸に戻って妻を捜す物語。女の存在が観念すぎて今イチでした。
「ちゃん」は、腕はいいが時流に乗れない昔気質の職人が、家族の愛情に支えられて生きていく物語。これまたハートウォーミングな話で、思わず涙が出てきました。錦之助は実年齢よりも上の父親役でガンバッテいますが、しっかり女房役の森光子が巧くて少し喰われていますね。画像は、「ちゃん」の錦之助
三話ともドラマチックな盛り上がりはなく、スローテンポなおっとりしたタッチですが、その内容とマッチして心地よい仕上がりとなっていま〜す。