三國連太郎の役者人生

nostalji2009-01-22

図書館から借りてきた三國連太郎:著の『生きざま死にざま』(KKロングセラーズ:2006年4月1日初版発行)を読了。単なる名優でなく、役者として信念を持って行動した生き方に感じ入りました。祖父が被差別部落出身ということが役者感に大きな影響を与えているようですね。今でこそ歌舞伎は古典芸能として格式高いものになっていますが、歌舞伎役者もドサ回りの役者も、“同じ穴の中で生きているにすぎない”として、同等に考えているところは流石です。実際、歌舞伎の発祥は河原者とよばれる遊芸民から始まったのは周知の通りで、歌舞伎の言葉の起源も“傾く”からきています。“傾く”とは、日常的な秩序の感覚から逸脱して風俗に影響を与えることで、その時代の先鋭的な志向を背負い表現することなんですね。創生期の映画もテレビも歌舞伎だったんですよ。
“役者は哲学を持つべき”、“成りきるのでなく、演じる人物の姿と気持ちを内面に借りて演じる”、“実のフィルターを通して虚を演じる”といった含蓄のある言葉が多々あり、三國連太郎の演技の真髄がわかったような気がしま〜す。