巨匠であっても

nostalji2009-01-28

録画保存していた『最後のインディアン』(1970年/監督:キャロル・リード)を観る。居留地で差別的生活をしているインディアンが、過去に結ばれた協定をたてに不屈の闘志で生活権を取り返そうとする行動をユーモアたっぷりに描いた現代西部劇です。主人公のフラッピング・イーグル(アンソニー・クイン)は飲んべえの暴れん坊ですが、バイタリティーあふれる誇り高きインディアンです。クインといえば、若い頃は悪いインディアン役が多かったですが、『革命児サパタ』と『道』でキャラを確立し、この作品でもクインの個性にピッタリの役どころとなっています。
居留地近くで行なわれている高速道路の工事の騒音で病人が出て、イーグルは仲間のイレブン(トニー・ビル)、ロボ(クロード・エイキンズ)、スミス(ヴィクター・ジョリー)と工事現場に抗議しますが、聞いてもらえず大乱闘。道路工事の監督官と殴り合いを通して友情が芽生えたり、娼婦のシェリー・ウインタースと痴話喧嘩したり、酒好きの暴れ馬との交流や、古典トリックを使った貨物列車の分捕りなどがユーモラスに展開していきます。だけど、喜劇味を出すために全体的にユルイものになっており、主題のインディアンの復権がボケたものになっていますね。
インディアン嫌いの警官が老インディアンの愛犬を射ち殺し、ショックで老インディアンが死んでからシリアスなムードになるのですが、緊迫感がみなぎってきません。ラストでイーグルが倒れ、イレブンが群衆にむかって決意演説しても表面的にすぎず、感動がありません。キャロル・リードの演出には残念ながら冴えたところがありませんでしたねェ。HP:西部劇シネマ館の「ネイティブ西部劇」に追加アップ
画像は、ケニー・ロジャースのLPレコードジャケット。このレコードとは直接関係ないのですが、『最後のインディアン』の主題歌をケニー・ロジャースが歌っているもんでね。