スーパー野球ヒーロー

nostalji2009-11-09

寺田ヒロオの『スポーツマン佐助』(全3巻)を読了。戦後、GHQの政策もあってブームになったのが野球でした。少年マンガの世界で最初の野球ヒーローは井上一雄の『バット君』らしいのですが、野球好きな少年の日常を描いた野球マンガ寺田ヒロオの『背番号0(ゼロ)』で完成したと私は思っています。『背番号0』が連載されていた同じ雑誌『野球少年』に連載されていたのが『スポーツマン佐助』です。『スポーツマン佐助』は、少年野球の世界から、プロ野球の世界で活躍する野球ヒーローの先駆けとなりました。主人公は甲賀忍者15代目猿飛佐助でして、現役の忍術使い(忍者じゃないよ)なんです。霧隠才蔵(先祖は忍術使いだったが、今は普通の人)がプレイしている巨人に、ひょんなことから入団することになるんですな。
忍術を封印しても、守ればホームランをジャンプしてキャッチ、打てば敬遠のボールだってホームランです。それで、相手投手(阪神の小山なのだ)は敬遠するのにゴロを投げるんですよ。すると、それを打った佐助は内野ゴロ。だけど足が速いので、楽々セーフね。巨人はセリーグ優勝して日本シリーズ西鉄ライオンズと対戦。佐助がいるので当然巨人が優勝するはずなんですが、そうなると現実と違ってしまうので、佐助は出場できなくなります。野球の物語と並行して、石川五右衛門(佐助の師匠・戸沢白雲斎を倒して日本一の忍術使いになろうとしている)や、自雷也(佐助を倒すことを目的としている)や、ナフタリン(日本の忍法を盗もうとする西洋忍者)たちとの忍術合戦が描かれており、佐助はケガをしてしまうんですよ。
翌年は、シーズン途中に忍術修行から帰ってきて、今度は投手になります。魔球を投げるんですが、これが星飛遊馬の大リーグボール3号なんですよ。バッターが強振すると、空気の圧力でボールがそれて空振りするというやつね。バッターが投手だと振りが弱くてボールに当るので、魔球の秘密がわかるんですな。この年の日本シリーズは、佐助の活躍で巨人が3連勝するんですが、瀕死の師匠・白雲斎を守るために故郷の山へ戻ったために、巨人は4連敗して西鉄が優勝したのです。
主人公を無敵のスーパー野球ヒーローにしたため、野球物語に限界がきて続けることができなくなったみたいですが、後年の『スポーツマン金太郎』で完成しましたね。そして、『ちかいの魔球』、『黒い秘密兵器』、『巨人の星』といったプロ野球魔球ヒーローに大きな影響を与えたと私は思っていま〜す。