フィルム・ノワールの悪女

nostalji2010-02-18

私にとってバーバラ・スタンウィックは、『バークレー牧場』で見せたしっかり者の母親のイメージなんですが、『深夜の告白』(1944年/監督:ビリー・ワイルダー)で見せた悪女も良かったですね。『深夜の告白』は、保険会社の営業マン(フレッド・マクマレー)が美貌の人妻(バーバラ・スタンウィック)に誘惑されて、保険金を騙しとるために彼女の夫を列車からの転落事故死に見せかけて殺し、破滅していく物語。ジェームズ・M・ケインの小説「倍額保険」を監督のビリー・ワイルダーとハードボイルド作家のレイモンド・チャンドラーが共同で脚色し映画化したフィルム・ノワールの傑作でした。スタンウィックは主人公が虜になるのがムリもないくらいの妖艶な悪女ぶりが見事でしたね。画像は、『深夜の告白』のバーバラ・スタンウィック
スタンウィックがもっとも輝いていたのが、1930年代から40年代でした。この期間に、アカデミー主演女優賞に4回もノミネートされています。50年代になると、女だてらにガンベルトを腰にまき、馬にまたがり、男どもをしたがえて荒野を走るB級西部劇専門女優といった感じになりますが、その堂々とした振る舞いは、“ウエスタン・クイン”と呼ばれてハリウッドの映画関係者から尊敬されます。名前に“ミス”の尊称がつくのは彼女だけですよ。『バークレー牧場』でのクレジットも、ミス・バーバラ・スタンウィックになっていましたね。