乱歩・由紀夫・明宏

nostalji2011-06-08

江戸川乱歩全集の第7巻を再読。『鬼』『悪霊』『黒蜥蜴』『人間豹』『石榴』と随筆5編が収録されており、『黒蜥蜴』まで読了しました。
『鬼』は、“顔のない死体”と“死体移動”のトリックを使ったクラシックな本格短編。『悪霊』は、構想がまとまらなくなって中絶した未完の長編です。書いていくにつれて色々な矛盾が生じて、どうにもならなくなったそうで、誰かが後を引き継いで完成させるのは不可能みたいですね。
『黒蜥蜴』は、“怪人二十面相”とならんで、乱歩作品の中でも最もポピュラーな作品となっていますね。小説の方は一連の明智小五郎冒険物語と大差ないのですが、三島由紀夫が戯曲化したことで、一躍芸術的香りが高まりました。京マチ子美輪明宏小川真由美、岩下志摩などが、女怪・黒蜥蜴を演じていますが、妖しい魅力では美輪明宏が最高でした。乱歩・由紀夫・明宏は、耽美の三点セットね。