陰が薄い

nostalji2013-05-18

マカロニ西部劇のDVD『砂塵に血を吐け』(1967年/監督:アルベルト・カルドーネ)を観る。殺人罪の刑期を終え、ジョニー(アンソニー・ステファン)が12年振りに故郷へ戻ってくるんですな。一帯は弟のサルタナ(ジャンニ・ガルコ)が暴力で支配しており、恋人だったマヌエラ(アンジェリカ・オットー)はサルタナの妻になっています。ジョニーはサルタナの手下が襲っているホセリータ(エリカ・ブラン)を助けますが、彼女は12年前にジョニーが殺したという男の娘でした。ジョニーは自分が無実であることをホセリータに話し、ジョニーの行動から彼女もジョニーを信用していきます。ジョニーは殺人を犯しておらず、証拠がないのに犯人にされたんですね。実はサルタナが真犯人で、サルタナと気脈を通じている判事によって冤罪にされたんです。
サルタナに虐げられていたマヌエラの弟ジェリー(ジェリー・ウィルソン)がジョニーに味方し、ジョニーはサルタナの悪事を次々と妨害します。怒ったサルタナは部下を率いて町に押し寄せ、ジョニーを求めて町を破壊します。止めようとしたサルタナの母(キャロル・ブラウン)が流れ弾に当たって死に、駆けつけたジョニーはサルタナと最終決着へ……
マカロニブームの1968年に公開されていますが、未見の作品でした。67年に観たステファン主演のマカロニ(6本もあるのだよ)がどれも酷くて、観る気がしなかったんですね。75年に月曜ロードショーでテレビ放映されたらしいのですが、仕事が忙しかったのか観ていません。でもって初見の感想ですが、監督が『地獄から来たプロガンマン』のカルドーネなので、演出的には散漫な場面展開の連続でシマリがありません。息子たちに対する母の想い、兄弟の対決といったマカロニ特有の情念の世界が巧く演出に活されてないんですよ。
ステファンは相変わらずですが、サルタナ役のジャンニ・ガルコが際立った性格演技を見せ、存在感があります。主役だけど、ステファンは陰が薄いねェ。日本語吹替バージョンで観たのですが、納谷悟朗の吹替でもカバーできないや。ちなみにガルコの吹替は伊武雅刀ね。音楽は『荒野の10万ドル』に差し替えられており、その部分だけオリジナルと聴き比べたのですが、オリジナルの方がグッドね。マカロニDVDは作品でなく、別の楽しみ方があるので〜す。