懐かしのニューシネマ

録画していた『イージー・ライダー』(1969年/監督:デニス・ホッパー)を再見。アメリカン・ニューシネマの原点となった作品。

キャプテン・アメリカの恰好でバイクを乗りまわすワイアット(ピーター・フォンダ)とカウボーイスタイルのビリー(デニス・ホッパー)は、マリファナの密輸でひと儲けし、カスタムメイドのオートバイで放浪の旅に出発。時計を捨て、時間にしばられず、ロサンゼルスから南に向かって走らせていきます。派手なスタイルのオートバイと、彼らの長髪に人々は好奇と嫌悪。二人はヒッチハイクをしているヒッピー(ルーク・アスキュー)を同乗させ、ヒッピー部落へ。そこでは若者たちがフリーセックスをし、ヤクをのみ、アングラ芝居をやって勝手気ままに過ごしていたが、二人はなじめず部落を出ます。ラスベガスで許可なくパレードの後をついて行ったため、警察に捕まりブタ箱入り。留置所で弁護士ハンソン(ジャック・ニコルスン)と知りあい、彼の口ぞえで釈放。ハンソンの依頼で一緒に謝肉祭を見ようとニューオリンズへ。レストランに入ると彼らの異様な姿に村人たちは拒否反応。野宿した三人を村人たちが襲い、ハンソンが殴り殺されます。二人は命からがら逃げだすと謝肉祭のバカ騒ぎにむなしさを感じ、娼婦を買い、マリファナを吸って墓地でセックス。二人はまたオートバイで旅をしますが、トラックから猟銃で狙われ……

現在の視点で見ると、構成はルーズだし、特に優れた映像もありません。だけど、当時のアメリカの社会状況(ベトナム戦争により偉大な正義の国のイメージがなくなり、人種問題の矛盾、激化する暴力的な動き、若者たちのヒッピー化などの問題が露呈)を背景に、ドロップアウトした若者の目を通して、それまでのハリウッド映画のハッピーエンドの図式をぶち壊したことにあります。現実を見つめるという観点にたった革命的作品になったので~す。