週に一度は西部劇

DVDで『明日に向かって撃て!』(1969年/監督:ジョージ・ロイ・ヒル)を再見。70年代の西部劇がニューシネマ中心となる原点となった作品。

ブッチ・キャシディポール・ニューマン)とサンダンス・キッドロバート・レッドフォード)はまるで性格のちがうコンビ。ブッチは目先のきく男で計画はすべて練り、決して人を殺すことはしません。ユーモアとセンスに富むブッチに対してサンダンスは男前だが早撃ちで人を殺すことなど何とも思わない男。ブッチに代わって壁の穴のリーダーになろうとした男をブッチはぶちのめし、仲間と列車強盗をします。サンダンスの恋人エッタ(キャサリン・ロス)と過ごす時間はブッチにとっても安らぎのひと時。ブッチとエッタが朝陽をあびながら自転車に相乗りするシーンは映像の美しさだけでなく、ニューシネマを象徴するようなシーンになっています。馬でなく自転車を小道具に使い、背景に流れるB・J・トーマスが歌う「雨にぬれても」は、従来の西部劇と全くちがうバート・バカラックのモダンな音楽。

ブッチとサンダンスに列車を襲われた鉄道会社は凄腕の保安官たちを雇い、二人を追跡。二人は山を越え、2日間逃げ回り、やっとのことでエッタの家にたどりつきます。二人は新しい夢を抱いて、エッタをつれて南米ボリビアにやってきますが……

ラストシーンは、その後の映画に大きな影響を与えましたな。若者の脱出の旅というこれまでにない西部劇のテーマで、セピア色の画面、柔らかな微風の西部、西部劇らしくないソフトでクラシックな衣装など、まさにニューシネマの西部劇。

DVDにはメイキングの特典がついており、ジョージ・ロイ・ヒルの解説やニューマンとレッドフォードの証言で、この作品が傑作になるべくしてなったことがわかりま~す。