帰ってから

旅行中に読みきるつもりだった今東光の『蒼き蝦夷の血(全4巻)』(徳間文庫)を読了。旅行前に2巻まで読み、3巻と4巻の途中まで旅行中に読み、帰ってからやっと全巻終了ね。

『蒼き蝦夷の血』は、晩年の今東光が奥州藤原四代を描こうとした未完の大作。1巻(1993年2月15日初版)は、初代・清衡の誕生から死まで。父・経清は義兄・安部貞任に味方して前九年の役で敗死。母は敵方の清原氏に再嫁。父の仇が養父となるんですな。養父が死んで、清原家に内紛が起こります。後三年の役で清原家は滅び、源義家に味方した清衡は藤原氏に復帰し、父と養父の遺領を支配下に置き、奥州藤原王朝を創建。

2巻(1993年2月15日初版)は、二代・基衡の誕生から死まで。清衡が死に、嫡子である基衡と妾腹の兄・惟経との相続争いが前半。後半は父の偉業を継ぎ、政体を整え、軍備を拡充、蝦夷に胚胎する内乱を間髪おかず潰し、仏国土建設に邁進。

3巻(1993年3月15日初版)は、三代・秀衡の誕生から義経を平泉に迎えるまで。基衡の治世を継いだ秀衡は、朝廷より鎮守府将軍を拝命し、北方の王者として奥州に君臨。都は公家・武家が争う権謀術数の坩堝。平清盛が台頭し、平氏政権の黄金期を確立。秀衡は平氏との対決を考え、商人・吉次を使い、鞍馬にいる源義朝の遺児・牛若丸に触手を伸ばします。

4巻(1993年3月15日初版)は、秀衡の物語でなく、義経が頼朝のもとへ馳せ参じ、壇ノ浦で平氏を滅ぼすまでの物語。面白いのは1~2巻までで、3巻以降は知られている話ばかりなので興味が薄れていきました。