懐かしの仏サスペンス

録画していた『狼は天使の匂い』(1972年/監督:ルネ・クレマン)を観る。逃亡中の男がギャングに匿われ、彼らの仲間となって仕事に手を貸す犯罪アクション。

ヘリコプターの墜落事故で大勢のジプシーの子供を死なせてしまったトニー(ジャン・ルイ・トランティニアン)は、ジプシーに追われ、身を潜めていた万博会場で銃撃された男を目撃。男はトニーに大金を手渡したところで息絶えます。トニーは男を殺した二人組・リッツォ(ジャン・ガヴァン)とポールに捕まり、彼らのアジトに連れていかれる途中でポールを自動車から突き落として逃亡を図りますが失敗。アジトには一味のボスであるチャーリー(ロバート・ライアン)、その情婦のシュガー(レオ・マッサリ)、乱暴者のマトン(アルド・レイ)、それにリッツォとポール、ポールの妹ペッパー(ティサ・ファロー)がいて、男が持っていた大金のありかを皆に隠したまま、トニーは彼らとの奇妙な同居生活がはじまります。ポールが自動車から落ちて頭を打った後遺症から死に、ポールの代わりにトニーが仲間に加わることになりますが……

犯罪集団劇でありながら、ルネ・クレマンは大人のおとぎ話に似た独特のムードたっぷりに描いています。トニーとチャーリーは少年時代に出会っており、ビー玉を小道具にして、少年時代の心情そのままにラストを迎えるという余韻ある演出。出演者では、ロバート・ライアンが渋くてグッドで~す。