映画と違って

nostalji2008-10-10

オーエン・ウィスター:著(平石貴樹:訳)の『ヴァージニアン』(松柏社:2007年7月15日初版発行)をやっと読了。西部劇の資料には必ず名前の出てくる小説なので、読んでおかなくてはと決心して読みはじめたのですが、760ページは長かったァ。書かれたのが100年以上も前の1902年なので、現在の小説と比べて冗漫なところは否めないです。だけど、開拓時代の西部の雰囲気(東部と異なる生活・風習)が活写されており、西部小説のモデル(リアルな西部と異なるフォクションの西部)となったのは納得がいきましたよ。主人公は南部(ヴァージニア)訛りがあるので、ヴァージニアンと呼ばれているのですが、小説でもオーエン・ウィスターは母音を引き伸ばして間延びさせた会話表現していたそうです。訳者も“おれン”とか“あんたン”といった表現で南部訛りのニュアンスを伝えようとしていますが、そこまで日本語訳でする必要があったか疑問です。会話部分が読みづらくなりましたからね。
私が観た映画の中(ゲーリー・クーパー、ジョエル・マックリー、ビル・パクストンがヴァージニアンを演じている)ではトランパスは、どの作品でも自信満々の悪党でしたが、小説ではあの有名なセリフ「日暮れまでに出て行け!」を言った後、後悔しているんですね。言ったてまえ、自分から逃げ出すわけにいかず、死の恐怖をまぎらすために酒を飲んで決闘に臨みます。映画にない味があって、面白いと思いました。
画像は、ゲーリー・クーパーのヴァージニアン。
HP:西部劇私的博物館の「西部小説」に追加アップ⇒http://www2u.biglobe.ne.jp/~kazu60/wbook2/asakka4.htm