再びマカロニ

nostalji2010-04-12

DVDの『ミスター・ノーボディ』(1973年/監督:トニーノ・ヴァレリ)を観る。引退を決意している老ガンマン(ヘンリー・フォンダ)の前に、ノーボディと名乗る若者(テレンス・ヒル)が現われ、老ガンマンの名声に恥じないような最後の活躍をやらせたいと考えて、ワイルドバンチの一味を焚きつけて老ガンマンを襲わせるんですな。コメディタッチの中にマカロニらしいアクションを折り込み、上出来の作品になっています。
監督のトニーノ・ヴァレリは、ヴァレリの師匠であるセルジオ・レオーネの意思を大きく反映していますね。それはハリウッド西部劇に対する挑戦なんですよ。レオーネほどハリウッド西部劇を意識している監督はいませんからねェ。このことは、フォンダ個人に対してなされているような、スターの座をさる老ガンマンへの敬意に表れています。ハリウッドに代って、フォンダの引退興行を行なっている感じがするんです。名声の証明(最初に床屋で、フォンダが3人の無法者をあざやかに倒す)、名声に恥じない最後の活躍(ワイルドバンチを倒す)、幸福な引退生活(ヨーロッパへの旅立ち)、どうです、これほど見事な引退興行はないでしょう。それと、ワイルドバンチの全滅と、最後の西部劇監督ともいえるサム・ペキンパーの墓は、西部劇そのものの終焉のメッセージになっていますね。