マカロニの古典的名作

nostalji2010-05-24

今週のBS2は、月曜:荒野の用心棒、火曜:夕陽のガンマン、水曜:続・夕陽のガンマン、木曜:アウトロークリント・イーストウッドの西部劇特集。でもって、本日の『荒野の用心棒』(1964年/監督:セルジオ・レオーネ)ですが、マカロニウエスタンの古典的名作です。最近の若い人たちは、本場の西部劇もイタリア製西部劇も区別はつかないでしょうけどね。イタリア・スペインを中心に安い費用で映画製作していたハリウッドの映画資本が1960年代初頭に撤退し、残された撮影所のセットやスタッフによって西部劇が作られたのが発端ね。日本ではマカロニですが欧米ではスパゲッティ。どちらにしても、当初は本場西部劇に対する蔑称として使われていました。最近は蔑称でなく別称になりましたね。
『荒野の用心棒』は、黒澤明の『用心棒』を西部劇に焼直したことは周知の通りですが、ラストの決闘はオリジナリティに溢れており、その後、いろいろな映画で模倣されたり、パロディに使われたりしています。他にも見どころ満点の工夫があって700万ドルの大ヒット作品となり、世界中にマカロニブームを生み出しました。主演のクリント・イーストウッドも世界的人気スターになったのです。
レオーネは主演をヘンリー・フォンダにしたかったようですが、出演料の点で不可能でした。なにしろ製作予算が20万ドルしかなかったのですから。それで主演は、1万5千ドルで出演してくれたイーストウッドね。イタリア製でも西部劇なので主演はアメリカスターとレオーネは考えており、テレビ西部劇『ローハイド』で知名度の高かったイーストウッドに白羽の矢を立てたのです。当時のイーストウッドのギャラは週3千ドル。『ローハイド』が終了して、『荒野の用心棒』に出演したという記事を見かけることがあるのですが、『ローハイド』はまだ終了しておらず、シーズン終了後の空き期間(4週間)に出演しているんですよ。『ローハイド』以外のテレビ・映画出演ができない契約でしたが、外国なら契約外ということでOKでした。6年間続いている『ローハイド』も翳りがみえてきており、イーストウッド=ロディというイメージで、他の作品に出演できないことに危機感を持っていたイーストウッドは、レオーネの申し出は“渡りに船”だったようです。『ローハイド』は次のシーズンで終了し、イーストウッドは再びレオーネの『夕陽のガンマン』に出演します。そして、これも前作を上回る大ヒットとなり……