リメイクを観る前に

nostalji2013-09-20

渡辺謙主演の『許されざる者』を観に行く予定にしているので、西部劇DVDの『許されざる者』(1992年/監督:クリント・イーストウッド)を再見する。
豚が病気になって農場経営の苦しくなった老ガンマン(クリント・イーストウッド)が若いガンマン(ジェームズ・ウールヴェット)に誘われて、賞金欲しさに娼婦の顔を斬り裂いた二人のカウボーイを殺しに行くんですな。子どもたちを、昔の相棒夫婦に預けようとしたら、相棒(モーガン・フリーマン)が一緒についてきます。売春宿の女主人(フランシス・フィッシャー)は、町の保安官(ジーン・ハックマン)が馬との交換で犯人を釈放したことに腹を立て、1000ドルの賞金をかけたのね。
小説家を連れた英国人賞金稼ぎ(リチャード・ハリス)が町にやってきますが、保安官は彼をコテンパンにして町から追い出します。娼婦たちに会いに来た老ガンマンは、熱を出して酒場にいたところを保安官に尋問をうけ、リンチされてやっとのことで外に出て、階上から逃げ出した若いガンマンと相棒に救出されます。3日後、熱も冷め、傷もいえた老ガンマンと二人の仲間は、峡谷で子馬の焼印を押しているカウボーイの中に犯人の一人を見つけ、殺します。人殺しが嫌になった相棒は、二人と別れて家に帰る途中に捕まり、保安官に拷問されるのね。
相棒が拷問されている間に、小屋に隠れているもう一人の犯人を殺し、娼婦から賞金を受け取るのですが、相棒が保安官に殺されたことを知らされ、賞金を若いガンマンに託し、老ガンマンは復讐のために町に乗り込み……
この映画のテーマは、“老いたるヒーロー”と“英雄伝説の破壊”です。“老いたるヒーロー”が西部劇のテーマとして登場するのは、『昼下りの決斗』が最初だと思うのですが、往年の西部劇スターが齢をとり、1970年代前半にかけて“黄昏ウエスタン”とも言うべき西部劇が作られました。これも最後の西部劇スターであるイーストウッドの西部劇引退映画ですな。射撃の腕も鈍り、馬に乗るのもオタオタする主人公が最後はカッコよく決めるのは、イーストウッドの貫禄ね。
昔は女子供でも平気で殺したという主人公は、従来の西部劇の英雄とはほど遠い存在だし、小説家を連れた英国人賞金稼ぎの存在は、まさには“英雄伝説の破壊”ね。英雄が作り物であることをバラした保安官が小説家に言ったセリフが名言。「速く撃つより冷静なことが大事なんだ。冷静なら正確に撃てる」「相手が速くて正確ならどうなります」「死ぬまでだ」
果たして、渡辺謙の『許されざる者』は……