ありきたりの物語

nostalji2011-05-05

録画していた『座頭市 THE LAST』(2010年・東宝/監督:阪本順治)を観る。ヤクザ渡世の宿命から愛妻(石原さとみ)を亡くした市(香取慎吾)が、旧友(反町隆史)が住む村で百姓になるんですが、悪辣なヤクザ(仲代達矢)の一家が村を支配するようになって、再び仕込み杖を握ります。感想は、はっきり言って、つまらない作品です。つまらない理由をあげると、ありきたりのストーリーで工夫のない脚本を、ひとりよがり的な感性演出した稚拙さにあります。そのため人物像に深みがないんですよ。クライマックスでも、何の伏線もなしに、市が役人の前に突然現れたり、足を痛めた市のハンデが殺陣に活かされてなかったりと、意味のないシーンが多いんです。
それと、香取慎吾の市は軽いですね。市の想定年齢を30過ぎにしており、慎吾の実年齢と同じぐらいなんでしょうが、時代劇における30過ぎは、もっと貫禄がないとね。織田裕二の『椿三十郎』もそうでしたが、昔のスターと比べると重みがないのでガキに見えてしまいます。慎吾の市だったら、LASTでなく、青春を描いたFIRSTの方が合っていると思いますよ。冒頭シーンの走るゾンビじゃない、走る座頭市というのはユニークで、面白かったですからねェ。