関東から四国へ

nostalji2011-12-03

録画していた『座頭市海を渡る』(1966年・大映/監督:池広一夫)と、テレビ版『座頭市物語』の第3話と第4話を観る。
座頭市海を渡る』は、これまで斬った人の菩提を弔うために市が四国に渡るんですな。馬に乗って襲ってきた男(井川比佐志)をやむなく斬りすて、馬に導かれて男の家にいくと、兄が殺されたことを知った男の妹・お吉(安田道代)に腕を斬られます。しかし、お吉は非が兄にあることをしっており、傷ついた市を介抱します。お吉の兄は、30両の借金のためにならず者の藤八(山形勲)から命じられていたんですよ。新藤兼人の脚本ですが、物語的には如何ってことなし。
自分の手を汚さずに、市と藤八を戦わすことによって土地を守ろうとする老獪な庄屋を三島雅夫が好演しています。ニヤニヤ笑って腹の内を隠す、煮ても焼いても喰えないような人物を演らせると三島雅夫は巧いんだよなァ。馬喰の親分の山形勲も良し。弓対居合いの対決は見せてくれま〜す。
座頭市物語』の第3話「祥月命日いのちの鐘」(監督:勝新太郎、脚本:高橋二三)は、市が女親分の按摩をしている時に、敵対するヤクザ(江幡高志)が雇った連中に殴り込みを受けるんですな。女親分は殺されますが、殴り込みにきた連中は足を滑らして市の仕込みをのがれた男(北大路欣也)以外は全員斬られます。男は市を狙いますが、市は母親の祥月命日のため、明け六つから暮れ六つの間は仕込みを抜かないと誓いをたてています。男も武器を持っていないものとは戦わないというこだわりを持っていて、暮れ六つまで待つことにします。男と市の友情と決闘、市が殺した浪人の娘と、浪人が殺した女親分の息子(青山良彦)との因縁など、脚本にもっと膨らみをもたせば映画にできる内容ですね。
第4話「しばられ観音ゆきずり旅」(監督:三隅研次、脚本:浅井昭三郎)は、牢内で産んだ娘を捜す島帰りの女(太地喜和子)としばられ観音の前で知りあった市は、娘を養っているという老人(藤原釜足)を一緒に捜すことになります。老人が住んでいる土地は二組のヤクザ(須賀不二夫と小田部通麿)が対立しており、八州廻りの役人(峰岸隆之介)は彼らを手玉にとり、縄張りを支配しようと考えているんですな。女の娘に対する情愛、喧嘩の助っ人に座頭市を紹介するという調子のよい若者(和田浩治)も絡み、これまた、脚本にもっと膨らみをもたせば映画にできる内容で〜す。