やっと読了

nostalji2012-12-06

S・C・グウィン:著(森夏樹:訳)の『史上最強のインディアン・コマンチ族の興亡(上下巻)』(青土社:2012年5月25日第1刷発行)を読了。白人が初めて北米大陸にやってきて、コマンチ族を知った18世紀初頭から最後の酋長ともいえるクアナ・パーカーがアメリカ軍に降伏した後の余生までを記したコマンチ・ヒストリーです。インカ・マヤを滅ぼし、北米までを征服しようとしたスペイン軍がコマンチには歯が立たず、結局あきらめざるを得なかったというのは面白かったですね。インカ・アステカの都市型定住インディアンと異なり、定住地を持たず獲物を求めて移動する狩猟インディアンには、それまでのやり方が全く機能しなかったのね。スペイン軍が放置した小型のアラブ馬が野生化してムスタングになり、驚くべき早さでコマンチは馬を乗りこなしていったのは驚きです。
連発銃ができるまでは、戦闘において白人はコマンチに勝てませんでした。だけど、白人が持ち込んだ天然痘コレラによって人口が減っていくのね。それと、ハンターによるバッファローの乱獲によって食料が不足していったこともね。コマンチに拉致されて酋長の妻となったシンシア・パーカーと息子のクアナの記録を通して、コマンチ族の戦いと生態が客観的に綴られているので、資料としての価値が極めて高いです。西部劇を観る楽しみが増えました。