高レベル時代劇

nostalji2012-12-12

ビデオに録画保存していたテレビ時代劇『剣』の第1話と第2話を観る。『剣』は、「俺は名刀だ。すくなくとも自分ではそう思っている。しかし、銘がない。そのため、持ち人つねに定まらず。よく斬れるがゆえを以て、持ち人さらに定まらず」という小沢栄太郎のナレーションで始まるオムニバス時代劇です。1967年4月17日から68年2月26日まで日本テレビ系列で放送されました。黒沢映画の脚本家である小国英雄・井出雅人・橋本忍菊島隆三が企画しており、レベルの高いものとなっています。
第1話「天下一の剣豪」(監督:渡辺祐介、脚本:橋本忍)は、苦労して“終生大名人”の称号を得た剣豪が、名もなき旅の武芸者にアッサリ負ける物語。刀の持ち人は、剣豪・戸沢一刀斎(丹波哲郎)ね。 “天下一の剣豪” の名を守るために、織田信長木村功)の要請で次々に挑戦者を破るんですが、事前に弟子(待田京介)を使って相手の調査をしているんですよ。自分に有利な条件をつけて決闘に臨むのが面白い趣向でした。お姫さまを口説くスケベーなニセの一刀斎(西村晃)も現れるようになり、それを羨ましく思った一刀斎は、信長より“終生大名人”の称号をもらってストイックな生活から足を洗うと決めます。念願かなって湯治場で療養する一刀斎の前に、“終生大名人”を馬鹿にする武芸者(鶴田浩二)が現れるのね。戸沢一刀斎と名乗ると、武芸者が「これまで戸沢一刀斎を3人斬ったが、お前は何人目だ」と応えます。「本物の腕前を見せてやる」と立ち合うのですが、アッというまに叩き伏せられます。名を聞くと、宮本武蔵なんだってさ。時代が違うよォ。
第2話「山犬ともぐら」(監督:小野田嘉幹、脚本:早坂暁)は、山犬のような野武士ともぐらのような百姓が味方の砦に脱出する駕篭を守って旅する物語。刀の持ち人は、畑の中で刀を見つけた百姓(緒形拳)ね。案山子に突き刺したら、カラスが刃に吸い寄せられて真っ二つ。刀を持っているだけで、百姓は強くなるのね。敵国に攻められ味方の砦に駕篭を運ぶ一行を襲った野武士(三國連太郎)が、逆に武将(志村喬)から駕篭の護衛を頼まれます。駕篭の中は城主の子を宿している愛妾(春川ますみ)で、砦に送り届けたら謝礼を出すとのこと。襲った時に野武士は駕籠かきまで斬ってしまったので、百姓を駕篭かきとして雇います。もう一人は武将の従僕(藤原釜足)がかつぐことになり、『隠し砦の三悪人』のごとく敵地脱出となるんですな。しかし、やっと辿り着いた砦は敵方に寝返っており、武将主従(実は敵をごまかす為に、藤原釜足が主人で、志村喬が従だった)は殺されてしまい、二人は愛妾を連れて逃げます。愛妾は産気づいて子どもを生みますが、赤ん坊を置いて何処かへ。野武士は追手と戦って死に、百姓は母(浪花千栄子)の待つ家に赤ん坊と戻ってきます。
ストーリーの面白さだけでなく、キャストも豪華で〜す。