とってつけた題名

nostalji2014-05-13

ビデオに録画保存していた『三十三の足跡』(1948年・大映/監督:松田定次)を観る。暁テル子と杉狂児が歌っているレビューの稽古シーンから始まり、幽霊騒ぎが起きます。10年前に人気役者が劇場主を怨んで自殺し、劇場主も死んだ役者の幽霊に祟られて死んだというんですな。その事件に不審を持った藤村大造(片岡千恵蔵)と笠原警部(大友柳太朗)が、演出家の川上(月形龍之介)に頼まれ、大道具の背景描きとなって潜入しています。どこからともなく足音が聞こえたり、笑い声やうめき声が聞こえるという奇怪な事が続き、劇団員の中に死んだ元劇場主の娘(木暮実千代と喜多川千鶴)がいたことから、劇場主の木塚(進藤英太郎)は川上に二人を辞めさせるように要求するのね。木塚たち劇場関係者の足元にわざとペンキをこぼした大造はクビになり、劇場の構造を調べるために片目の建築技師となって劇場を訪問。昔から大道具係をしている宗吉(山本礼三郎)が首吊り死体で見つかり、医者となって現れた大造はそれが殺人と考えます。老公証人となって現れた大造は元劇場主の娘に木塚が劇場を手に入れた経緯を訊き、真相に迫ります。そして多羅尾伴内となって、宗吉の死因調査に劇場に現れ、木塚たちを詰問。その夜、元劇場主の娘を襲おうとした幽霊(藤井貢)を秘密通路で捕えた伴内は、幽霊に変装して木塚たちの前に現れ、事件の真相を暴くのです。
題名は秘密の通路に三十三の足跡があったからなんですが、真相とは関係なく、数なんて幾つでもいいんです。これは、前作の『十三の眼』も『二十一の指紋』も同じです。ラストの決め台詞はなく、銃撃戦もなく、アッサリしています。大映でのシリーズはこれで終わりですが、試行している感じですね。以後は東映に移り、『片目の魔王』『曲馬団の魔王』『隼の魔王』『復讐の七仮面』『戦慄の七仮面』『十三の魔王』と続き、1960年の『七つの顔の男だぜ』で終了しま〜す。