西部劇DVDの『赤い砦』(1955年/監督:アンドレ・ド・トス)を観る。
オレゴンに移住する幌馬車隊がスー族の領地を無事通れるように交渉にきたジョニー・ホーク(カーク・ダグラス)は、レッド・クラウド酋長(エドワード・フランツ)の娘オナーティ(エルザ・マルチネリ)を一目見て好きになります。レッド・クラウドは金塊を狙って入り込んでくる白人を警戒しており、密交易でインディアンにウィスキーを売っていたウエス・トッド(ウォルター・マッソー)とチビングトン(ロン・チャニー)を砦の営巣に留置したことでジョニーを信用し、幌馬車隊はジョニーを道案内にオレゴンへ出発。しかし、釈放されて幌馬車隊に加わったウエス・トッドとチビングトンが、ジョニーが愛しあうオナーティに逢いに行った留守にレッド・クラウドの弟グレイ・ウルフを殺したことから幌馬車隊はインディアンに襲撃されます。幌馬車隊は砦に逃げ帰り、砦はインディアンの大群に包囲され……
カーク・ダグラスが設立したブリナ・プロダクションの第1回作品で、カークは野性的なインディアン娘エルザ・マルチネリだけでなく幌馬車隊の未亡人ディアナ・ダグラスにも好かれるというモテ男ぶりを見せ、たいしたピンチもなくカークの活躍でインディアンとの和平がおとずれるというカーク・ダグラスのワンマン映画です。
内容は平凡ですが、西部劇に手慣れたアンドレ・ド・トスらしく、シネスコの横長画面を活用した幌馬車隊の映像や、騎兵隊とインディアンの砦での攻防戦などで非凡なところを見せています。馬に樹の枝を結んで砂埃を立たせ、砂埃に隠れて砦に近づいたインディアンたちがよくしなう竿を使って火をつけた藁束を砦内に投げ込んで火災をおこさせる戦法は今まで見たことがなく面白かったですね。攻撃をかわすために馬上から馬の腹をくぐり抜けて馬上に戻るというスタントは、当時としては何でもないアクションでしょうが、西部劇スタントがいなくなった現在では見ることができないものです。西部劇全盛時の作品でないと味わえない楽しみで〜す。