比較したくて

nostalji2018-01-02

年末に放映されて、録画していた時代劇『赤ひげ』(1965年・東宝/監督:黒澤明)を観る。リアルタイムで観て以来の再見です。BSプレミアムの金曜時代劇『赤ひげ』と比べるのも一興と思いましてね。
原作は山本周五郎の8篇からなる連鎖短編集。長崎で最新の西洋医学を修めて江戸に帰って来た保本登(加山雄三)が配属されたのは、貧民のための施療院小石川養生所で、赤ひげと呼ばれる豪快な名医・新出去定(三船敏郎)の下で各エピソードを通じて次第に人を救うことの尊さを学んでいく物語です。
重点エピソードの絞り込み(脚本は、黒澤明井手雅人小国英雄菊島隆三)と原作にはない膨らまし(二木てるみの演技が抜群のおとよのエピソード)によって映画独自の世界を作っています。原作の世界を楽しむならテレビドラマね。演技巧者が脇を固め、細部まで手抜きのないセット・大道具・小道具(美術は村木与四郎)、ドラマに厚みをもたせる照明、黒澤らしい贅沢さを感じますね。物語の根幹であるヒューマニズムはわかりやすく、テレビドラマの方が深みがあった気がします。
次男が土産に持って来た地酒を飲んで寝正月、寝正月。