母の入院

nostalji2018-02-05

身体にむくみが出て、母が大学病院に入院。心臓弁膜症からくる心不全の症状ですが、本人はいたって元気です。注射と薬で身体に溜まった水を抜き、あとは様子を見るだけね。酸素不足状態だったので酸素吸入を1から2にアップ。
移動や待ち時間に読んでいたエルモア・レナード:著(村上春樹:訳)の『オンブレ』(新潮文庫:2018年2月1日発行)を読了。表題の「オンブレ」の他に短編の「3時10分発ユマ行き」が収録された西部小説です。
「オンブレ」は、ポール・ニューマン主演で映画化された『太陽の中の対決』(1967年/監督:マーティン・リット)の原作。オンブレと呼ばれる男が、駅馬車を襲撃した無法者と死闘を繰り広げる物語です。幼少期にアパッチに育てられた主人公のクールな魅力に惹きこまれます。灼熱のアリゾナの太陽の下で対決する悪党ブレイデン(映画ではリチャード・ブーンが演じていた)がなかなかの曲者で、対決を面白くしていますな。舞台設定と登場人物のキャラが相俟って良質のエンターテインメントに仕上がっています。
「3時10分発ユマ行き」は、『決断の3時10分』(1957年)と『3時10分、決断の時』(2007年)の題名で2度映画化されています。映画では主人公は、干ばつで作物が危機に瀕し、農場を守るために囚人護送という危険な仕事を引き受けた農夫でしたが、原作ではプロの保安官。保安官とギャングというプロ同士の駆け引きがハードボイルド・タッチで描かれています。人間ドラマとしての面白味は映画の方にありますが、対決だけに凝縮させた緊迫感は短編の面白味ですね。今どき西部小説を好んで読む人なんて、世の中に殆どいないでしょうが、『反撃の銃弾』と『追撃のバラード』が出版されたら、私は読むよォ。