懐かしの時代劇

nostalji2018-05-06

友人に送ってもらった東映時代劇『ヒマラヤの魔王(三部作)』(1956年/監督:河野寿一)を観る。大林清原作のラジオ東京連続放送劇の映画化で、ヒマラヤの魔王と呼ばれる宝玉をめぐる冒険時代活劇です。第一部が4月25日に、第二部:双龍篇が5月3日に、第三部:完結日月篇が5月11日というゴールデンウイークに公開されました。
時は戦国時代、400年前に日本に渡り伝えられたヒマラヤ王の証である二つの勾玉ヒマラヤの魔王を狙って天竺の盗賊パサン(吉田義夫)と海賊・竜神丸(阿部九洲男)が手を組みます。勾玉の一つは竜神丸の仲間で野武士あがりの尼子家の武将・大麻剛左衛門(山形勲)が所持。剛左衛門はパサンに協力を約し、配下の黒鷲党にもう一つの勾玉を探らせます。剛左衛門は蔵人(中村錦之助)率いる風早一族が所持しているとにらみ、蔵人たちが出陣している隙をついて、竜神丸と黒鷲党が風早の里を襲撃。左馬之助(東千代之介)率いる南雲一族と対峙していた蔵人は、風早の里へ駆けつけます。竜神丸に斬られた父(高松錦之助)の口から、風早一族がヒマラヤ王カザンナグルの直系の末裔であること、王の証であるヒマラヤの魔王の由来を知らされるのね。蔵人の恋人・小萩(田代百合子)は黒鷲党に追われていましたが左馬之助に助けられ、パサンと竜神丸の悪だくみを偶然聞いて追われていた左馬之助の幼馴染・千鳥(石井麗子)は蔵人に救われます。左馬之助は尼子家から武勲を讃えられ、鷹巣城の城主となりますが、それに不満を持つ剛左衛門は毛利家に内通。竜神丸の情婦・麻耶(浦里はるみ)が南雲一族もカザンナグルの末裔であることに気づき、竜神丸と黒鷲党が南雲の里を襲います。南雲一族の危急を知った蔵人は南雲の里に駆けつけ、竜神丸・パサン・黒鷲党を打倒。瀕死の重傷を負った南雲一族の長老・多聞(原健策)から南雲一族もカザンナグルの末裔と知らされます。鷹巣城を包囲していた毛利軍は、背後から蔵人率いる風早一族に襲われて総崩れ。勾玉を持って逃げようとした剛左衛門は、親の仇として機会あるごとに狙っていた旅芸人の桔梗(喜多川千鶴)と左馬之助に討たれます。もう一つの勾玉は左馬之助が持っており、蔵人は先祖の遺志を受けつぎ、二つの勾玉を持って小萩とヒマラヤへ旅立つのです。
錦之助・千代之介という黄金コンビによる娯楽映画です。中途半端な異国ロマンで、何じゃコリャ、という内容ですが、錦之助と千代之介が、いずれ劣らぬ剣の腕前を見せて顔を合わせるだけで当時の客は大満足だったのでしょう。同じ系列の作品に同年の年末年始に公開された『七つの誓い(三部作)』(監督:佐々木康)がありますが、この作品の方が異国ロマン満点で、物語のスケールも大きかったです。出来が悪くても、私としては、扮装に工夫を凝らして存在感を見せつける怪しい異国人役の吉田義夫が出ていれば満足。この手の作品には、なくてはならぬ悪役でしたねェ。