知らない作家だが

nostalji2018-05-15

移動や待ち時間に読んでいた乾禄郎:著の『忍び外伝』(朝日時代小説文庫:2013年10月30日第1刷)を読了。第2回朝日時代小説大賞を受賞した、伝奇あり、活劇ありの忍者エンターテインメントです。
主人公は石川村で生まれた文吾衛門で、皆からは文吾と呼ばれています。子どもの頃の名が五郎吉で、生活が苦しくて盗みをしていたとなると、石川五右衛門がすぐに浮かびますな。物語は、織田信長が本能寺で討たれて間もない頃、興福寺の池のほとりで文吾が果心居士の幻術にかかったところから始まります。果心居士の幻術により文吾は過去を彷徨。信長が大軍で伊賀を攻めた天正伊賀の乱や、本能寺の変に係わる謎、その背後にある時を超えて暗躍する二人の術師の対立などが、リアルと非リアルを融合して描かれています。
リアル系と非リアル系、それにミステリー性を盛り込んだ試みは面白いと思いますが、私としては今イチのれないところがあります。本能寺の変の真相については無理筋だと思いますね。だけど、『忍びの者』など過去の忍者小説からの着想が多くあり、忍者小説ファンとして嬉しかったで〜す。