昨日に続き

録画していた『県警対組織暴力』(1975年・東映/監督:深作欣二)を観る。地方警察の腐敗と、マル暴刑事とヤクザの癒着ぶりを描いた実録路線です。
倉島署のマル暴刑事・久能(菅原文太)は、ヤクザと対峙するには自らもヤクザの分を知らなくてはいけないと考えている出世の見込みのない叩き上げ刑事で、大原組の若衆頭・広谷(松方弘樹)の気性を気に入り二人は固い絆で結ばれています。大原組は石油会社と結託した川手組と対立しており、倉島地区の暴力取締りに県警本部からエリート警部補・海田(梅宮辰夫)が着任。抗争を終結させるために、海田は大原組の解散をもくろみ……
海田は政治家(金子信雄)と癒着しているヤクザ(成田三樹夫)を相手にするより、暴力丸出しの地元ヤクザをつぶす方が手っ取り早いと考えているんですな。法に厳正・組織に忠実・ヤクザとの私的関係を否定する海田の言い分は真っ当なんですが、自分より強い相手(政治家や企業)には手を出さないだけです。久能はそんな海田に反発しますが、地元ヤクザとの癒着を糾弾され自宅待機。大原組の親分(遠藤辰夫)は海田に脅されて組を解散。広谷や自暴自棄になって大暴れし、久能が射殺します。
善良な人物はひとりも登場しない、善悪の概念を越えた作品。警察権力の腐敗というより、石油会社に天下りして、能天気にラジオ体操をする梅宮くんに面白味を感じましたね。現在でも通じるエリート官僚の姿で~す。

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