録画していた『女囚さそり 第41雑居房』（1972年／監督：伊藤俊也）を観る。梶芽衣子の“さそり”シリーズの第２作目です。第１作は昨年再見しているので、今回はパス。
地下の独居房に収監されていた“さそり”こと松島ナミ（梶芽衣子）は、法務省の巡閲官（戸浦六宏）の面前で、宿敵の刑務所長・郷田（渡辺文雄）を隠し持った凶器（スプーンを鋭く研いだモノ）で狙いますが失敗し、苦役の石切場で看守の辻（小松方正）たちに輪姦されます。しかし、不死鳥のごとくナミは辻を殺し、大場ひで（白石加代子）たち６人の女囚と脱走。前作でナミに片目をつぶされた郷田は私怨で執念深くナミを追いますが……
徹底したご都合主義に、ケレン味たっぷりの映像。独居房にいた“さそり”が、あれだけの大騒動（戸浦六宏が恐怖で失禁したのは笑える）をひきおこして、白石加代子・荒砂ゆき・伊佐山ひろ子・八並映子・賀川雪絵・石井くに子が収監されている雑居房に移されるなんておかしいでしょう。脱走奨励ね。白石加代子の怪演と、八並映子がヤケクソで歌う「ヨカチン数え歌」はグッド。石井くに子が強姦されて川に投げ込まれると川の水が真っ赤に染まったり、平家琵琶調に脱走女囚たちの犯罪を解説したりと、前作が大ヒットしたおかげか、伊藤俊也の演出はやりたい放題といった感じです。股間に丸太を打たれた小松方正の惨めすぎる死に様は大爆笑。
殴られても、蹴られても、苛められて汚されても、梶芽衣子は声をあげることなく、不死身ぶりを発揮します。相手の本音を見透かす鋭い眼光のみで、セリフは「あたしを売ったね」と「死んでるよ」の二言。ラストは極めつきの黒いツバ広帽子と黒いロングコート姿で、高級官僚に出世した渡辺文雄をメッタ刺し。メチャクチャな作品ですが、ある意味で傑作で～す。
