最初が肝心

nostalji2018-05-09

再見したいと思い、友人に送ってもらった『女囚701号さそり』(1972年・東映/監督:伊藤俊也)を観る。愛する男(夏八木勲)に裏切られ、殺人未遂で刑務所に入った主人公(梶芽衣子)が、悪辣な刑務官や敵対する女囚の嫌がらせに倍返しをし、刑務所を脱獄して男に復讐する物語で、梶芽衣子の代表作となりました。
タイトルロールの女囚たちが全裸で階段を昇降(股間に違法物を持っていないかチェック)から始まり、中盤には女囚たちの入浴シーンがあり、当初の会社企画は池玲子杉本美樹主演のお色気路線を考えていたようです。しかし、梶芽衣子が主演することになり、彼女が提案した喋らない主人公が異彩を放ちます。するどい視線には凄みと怨念が凝縮しており、セリフなんか必要ないんですね。リンチや懲罰に黙って耐える被虐的な色気と、自分を貶めた男たちを無言で復讐していく痛快さは、梶芽衣子の魅力満点。
監督初作品ということで、伊藤俊也は意気込みが感じられるケレン味たっぷりの演出をしています。パンティひとつで梶芽衣子を襲う三原葉子隈取りメイク、回り舞台風にワンシーンで展開する回想場面などグッドです。しかし、編集が稚拙のせいか、場面のつなぎがギクシャクしているのは残念。ちなみに、劇中“さそり”という呼び名は一度も使われていませ〜ん。