西部劇というより人生ドラマ

友人に送ってもらった『流血の荒野』(1942年/監督:ウィリアム・マクガン)を観る。テキサスに大牧場を築く男の戦いを描いた日本未公開の西部劇です。
テキサスとルイジアナの境界でリバーボートを運営するブライス(プレストン・フォスター)とテイラー(リチャード・ディックス)は、牛泥棒のブシャール(レオ・キャリロ)の牛千頭を運びますが、ブシャールが金を払わないので牛をまき上げます。二人は牛と船を売った金でテキサスに土地を買い、牧場を経営。ブライスはテイラーの妹アビー(フランセス・ギフォード)と結婚し息子も誕生。一方、ブシャールはブライスとテイラーの牛を密かに盗み続け、ルイジアナの顔役になっています。大牧場主となったブライスは、5歳になった息子のために独占欲が強くなり、地域の発展のために鉄道誘致をしようとするテイラーや小牧場主たちと意見が衝突。小牧場主たちが集荷していた牛の暴走にまきこまれて息子が死に、ブライスは小牧場主たちを牛泥棒と思い、道路を封鎖します。ブライスのやり方についていけなくなった昔からの部下セイラウェイ(グイン・ウィリアムス)が、牧場から去り、ルイジアナでブシャールの悪行を知り……
物語は淡々と進み、ドラマとしての厚みはありませんが、画面いっぱいに展開する牛の大群や集団による銃撃戦など往年の西部劇の良さがあります。最近の映画にはない作風は、逆に新味を感じま~す。

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画像は、プレストン・フォスターとフランセス・ギフォード。プレストン・フォスターは、戦前は主演クラスでしたが、戦後は主人公に花をもたす準主役として活躍。