懐古趣味で

ペリー荻野:著の『テレビの荒野を歩いた人たち』(新潮社:2020年6月20日発行)を読了。専門家ゼロ、ノウハウゼロの時代のテレビ現場に関わった人たちへのインタビュー本です。石井ふく子(プロデューサー)、杉田成道(ディレクター)、橋田壽賀子(脚本家)、岡田晋吉(プロデューサー)、小林亜星(作曲家)、菅原俊夫(殺陣師)、中村メイコ(女優)、久米明(男優)、小林信彦(作家)、小田桐昭(CMディレクター)、山像信夫(ディレクター)、杉山茂(ディレクター)の12人。

最初からテレビの将来性を思ってテレビ現場に入った人は殆どいなくて、会社命令などで仕方なく行ったら、仕事はきついけどパイオニアとしてのやりがい感じて情熱を持てたようです。自分のやりたいようにできることが大きかったんですね。

共通してでてくるのが生放送における苦心談と失敗。左卜全はセリフが出てこないとハンカチをカメラに被せたとか、久米明氏は時代劇なのにウッカリ腕時計をしていたとかね。CMも生で、本編の都合でCMの時間が短くなったり長くなったりしたとのこと。アドリブ能力の高い俳優やタレントが重宝されたのがわかります。

CMといえば、欧米のCMが数字や文字による説得、論理的なコミュニケーションだったのに対して、小田桐氏の話によると日本では“面白い”を一番に考えたそうです。植木等の「何である、アイデアル」や、大橋巨泉の「はっぱふみふみ」なんて意味不明だもんねェ。

テレビに荒野がなくなった時、番組はドンドンつまらなくなっていきました。

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