時代劇といっても

録画していた『漂流』(1981年/監督:森谷司郎)を観る。絶海の孤島に漂着した男のサバイバルを描いた吉村昭の文芸小説の映画化です。

天明5年、船が難破し、長平(北大路欣也)・音吉(高橋長英)・源右衛門(坂上二郎)・甚兵衛(水島涼太)の4人は無人の火山島に漂着。島には大きな白い鳥しかおらず、源右衛門と甚兵衛が死亡。音吉は想い人のお絹(鷹巣豊子)が故郷で待っていると信じて耐えていましたが、長平とお絹が恋仲と知って生きる気力を失い、崖から身を投げて死亡。残された長平は、お遍路だった母(三田佳子)の最後の言葉を思い出して耐えます。白い鳥の肉を食料に、羽を衣服に、卵の殻を水受けにして、9年の歳月が過ぎた頃、儀三郎(岸田森)たち7人が漂着。捨て鉢になっている伊平次(渡瀬恒彦)が仲間のひとりを殺したことから……

仲間が死んでいき、ひたすら生きようとする前半と、仲間が増え、流木を集めて船を作り、島から脱出を試みる二部構成。3年もの長期ロケを行った力作ですが、全体としての盛り上がりが弱いです。ラストの火山の噴火など見せ場はあるのですが、スペクタクルに欠けます。同監督の『八甲田山』のような心にグッとくるようなものがありませ~ん。

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