久しぶりのヤクザ映画

録画していた『無頼』(2020年/監督:井筒和幸)を観る。貧しい家に生まれ、極道の世界に生きる男を描いたヤクザ映画です。

母親の顔も知らず、ぐうたらな父親のもと、極貧の中で兄の孝(中村達也)とともに井藤正治松本利夫)は極道の道をまっしぐら。東海の暴れん坊として名をあげ、網走刑務所を出所した後、川野組組長(小木茂光)と兄弟分の盃を交わした正治は、自らヤクザの組長として一家を構えます。ある日、クラブのホステス・佳奈(柳ゆり菜)に一目惚れした正治は、すぐに口説きはじめ……

敗戦後から高度経済成長期を経て、バブル崩壊までの時代を背景に、折々のニュース映像を入れてヤクザ社会を生き抜いてきた男の物語になっています。“北陸代理戦争”や“山一抗争”を物語に取り入れて、昭和の裏社会史にもなっていますな。正治の子分が映画館で深作欣二の『北陸代理戦争』の映画を見て、川野組長はカッコ良すぎると言ったのには笑えましたよ。井筒監督らしいシニカルなユーモアが随所にみられ、従来のヤクザ映画とは異なる面白いものに仕上がっていました。成功したヤクザとして、主人公が死なないのもグッドで~す。

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