懐かしの歌謡映画

録画していた『高校三年生』(1963年・大映/監督:井上芳夫)を観る。1960年代までは歌謡ヒット曲をモチーフにした映画が数多く作られていました。この映画も舟木一夫のヒット曲をもとにした青春映画。舟木一夫の映画デビュー作で、主題歌の他に挿入歌として「只今授業中」も歌っています。♪~ABカッコ、Aカッコ~

小杉知子(姿美千子)は地方都市に住む高校三年生。知子の家は老舗の織物問屋で、考え方も古く、姉の澄子(浜田ゆう子)は祖母(細川ちか子)と祖母の言いなりの両親(見明凡太郎と村田知栄子)に恋人との交際を反対されて家出。知子は姉が恋人と同棲している下宿先の息子・本多宏(倉石功)と知りあいます。宏は、クラスは違いますが同じ高校の三年生で、父を早くに亡くしており、鮨屋で働く母(坪内美詠子)と二人暮らし。しっかりした考え方をする宏に知子は好意を持ちます。知子の友人・島津小路(高田美和)は銀行支店長の娘で、男子生徒の憧れの的。船田(舟木一夫)は小路が好きなんですが、小路は担任の原先生(高橋昌也)に恋しています。そんな時、知子の祖母が、宏が知子を誘惑したと学校にクレームをつけ……

原作は雑誌「美しい十代」に連載された富島健夫の青春小説『明日への握手』で、現実的な高校生に対して、古い体質の大人たちという構造です。当時は同じ年代の者にとって、感情移入できるテーマでした。姉が恋人とセックスをしているのを目撃してショックを受けるというのは、少し純情すぎますかな。好きになってもキスまでね。

自転車で集団登校、帰宅後も制服で行動というのが、当時の高校生(特に地方都市)の日常行動でしたなァ。