これで最後

DVDで『陸軍中野学校・開戦前夜』(1968年・大映/監督:井上昭)を観る。日本の開戦日を探る英国スパイとの対決を描いたシリーズ最終作。

日米交渉が決裂必至の状況下、椎名次郎(市川雷蔵)は香港で英国情報部の機密書類を盗み撮りします。椎名の撮ったフィルムにより御前会議の秘密が漏れていたことが判明。草薙中佐(加東大介)の命令で、椎名は御前会議メンバーの調査にかかります。椎名が疑いをかけたのは、重臣たちの相談相手である大原博士(清水將夫)の看護婦・金井(橘公子)と会議の模様を描いた画家の水池(船越英二)で、椎名は大原邸で盗聴マイクを発見。香港で親しくなった秋子(小山明子)が、金井や水池と接触していることがわかり……

このシリーズは全てモノクロで撮影されており、目的は達しても結局は報われないという暗い側面を描くのに適していましたね。演出的には特段優れたところはありませんが、市川雷蔵の持つ雰囲気が作品にマッチ。雷蔵はこの作品の後、病魔に侵され翌年に亡くなっています。元気だったら、このシリーズはまだ続いていたかもしれませんねェ。