広島が舞台で

録画していた『広島仁義・人質奪回作戦』(1976年・東映/監督:牧口雄二)を観る。松方弘樹小林旭が主演した東映実録ヤクザ映画です。

巨大組織・関東同志会が広島に進出してきた時の抗争で殺人を犯した神野(松方弘樹)が8年の服役を終えて出所してきます。その間に広島の暴力団は大同団結し、神和連合会が発足。会長の北条(小林旭)は出所してきた神野に昔のように一緒にやろうと持ちかけますが、内部抗争に破れて神和連合会から所払いになっていた沖田(室田日出夫)の薦めで神野は総会屋の柏木(地井武男)の顧問になります。柏木率いる旭グループは神野の強引とも思われる働きによって、三十数社の総会を取り仕切るまでに発展。大企業の東邦汽船の弱みをつかんだ柏木は、東邦汽船の総会屋になろうとしますが、東邦汽船のバックには関東同志会がついており、逆に脅される始末。柏木は神野に相談なく、神和連合会に助けを求めます。神野は自分たちで片をつけたいと考えており、柏木の返還を北条に要求しますが、北条は総会屋を新たな資金源として考えていて、それを拒絶。沖田は、かつては五分の兄弟分だったよしみから北条へ話し合いに行きますが、沖田が所払いになっていることを理由に神和連合会の竹森(夏八木勲)が沖田を射殺。その頃、北条は関東同志会との会談で、東邦汽船の弱みを総会で公表しない条件で5千万円受け取る合意に達しており……

仁義なき戦いの未来編”とあったように、演出タッチは“仁義なき戦い”に似ています。友情よりも組織をまとめることに力を注ぐ小林旭の貫録。小林旭の下で活動すれば平穏無事で過ごせるのに、誰の下にもつかない生き方を選ぶ松方弘樹。物語としての出来はよくありませんが、小林旭松方弘樹で見せてくれます。“仁義なき戦い”の出演メンバーが顔を揃えており、“孤狼の血”よりも広島弁は板についていま~す。