週に一度は西部劇

録画していた『荒野の渡り者』(1965年/監督:アルバート・バンド)を観る。フランコ・ネロがブレイクする前に出演していた初期のマカロニウエスタンです。

南北戦争が終わり、コーディン家の長男ロン(ゴードン・スコット)が帰還。北テキサスの大牧場主である父のテンプル(ジョセフ・コットン)は地域一帯を暴力で支配する独裁者。テンプルは南部心酔者で、黒人奴隷を使っていることを批判した記事を書いた新聞社主をリンチ。長女ベス(エマ・ヴァローニ)は北部出身の牧場主チャーリー(フランコ・ネロ)と結婚しようと思っていますが、テンプルは大反対。父のやり方に反発するロンは、チャーリーが殺されることを恐れ、チャーリーにベスと一緒にこの土地から去るように進言。ロンは、新たな土地で牧場を始めるチャーリーと飼っていた牛を率いて出発。気弱なことを兄たちに馬鹿にされ、毅然としているロンにあこがれていた五男のボビー(ジム・ミッチェル)もついてきます。テンプルはベスを連れ帰るように部下たちに命令。追ってきたテンプルの部下を殺したロンは、ベスが結婚したことを告げに牧場に戻り、時代が変わったことを父親に説明。テンプルは聞く耳を持たず、町に戻ってきたら殺すとロンに宣告。しかし、ロンはリンチされた新聞社主の娘エディス(イラリオ・オッキ-ニ)と知りあい、キャトルドライブしていくうちにたくましくなったボビーと一緒に町に戻ってきます。テンプルは自分の言いなりになる次男・三男・四男と部下たちに、エディスとロンを殺すように命じますが……

最後は兄弟同士が撃ちあう陰惨な物語。息子たちの死体を見たテンプルはショックで認知症になり、生き残ったロンが家に連れて帰ります。南部の敗戦を認めず、古い体質を維持しようとする父親と良識的な息子との対立。父と子の対立は本場西部劇でもよくあるパターンですが、陰湿な内容にしたのはマカロニ的。物語展開や銃撃戦の演出は褒められたものではありませんが、初期のマカロニとしては悪くありません。フランコ・ネロは銃撃戦には参加せず、主人公の妹と結婚するだけの平凡な役。

主演のゴードン・スコットは、11代目ターザン役者。5本のターザン映画に主演していますが、私は『ターザン大いに怒る』を観ています。友人の保安官が悪党一家に殺され、ターザンが犯人を逮捕。警察本部まで連行することになりますが、悪党一味が河船を爆破したために乗客と一緒にジャングルを進むことになります。ジャングルの猛獣や土人の襲撃をかわし、追ってきた悪党一味と対決。アフリカが舞台ですが、内容は西部劇タッチでした。