サユリストじゃないが

録画したままだった『泥だらけの純情』(1963年・日活/監督:中平康)を観る。吉永・浜田のコンビによる青春純愛メロドラマ。

外交官令嬢の真美(吉永小百合)が不良学生に恐喝されているところをチンピラの次郎(浜田光夫)が助けます。乱闘の最中、相手は自分の持っていたナイフで誤って刺して死亡。次郎の兄貴分の花井(小池朝雄)は次郎に自首を勧めます。殺人事件を報じる新聞を見て驚いた真美は、事件の真実を刑事に証言。次郎は釈放され、次郎を一目見た時から好きになった真美は次郎のアパートを訪ねます。純真な真美に次郎はドギマギしながら嬉しさを隠せず対応。それからの毎土曜日、二人はデートを重ね、愛しあうようになりますが……

昔からよくある身分違いの恋物語。真美の母親(細川ちか子)は次郎との交際を禁じ、外国にいる父親の赴任地に行かせようとし、花井は結ばれることのない相手なので次郎にヤクザとしての箔をつけさせるために麻薬取引の身代り自首を勧めます。結局二人は心中することになるんですが、悲愴感はありません。幸福な心中といった感じなんですよ。

吉永小百合の1963年の出演作は11本あって、10本で浜田光夫と共演。8本がコンビ作品です。その中で小百合自身がコンビ二人の長所がよく出た作品としてあげているのがこの作品。温室育ちの苦労知らずのお嬢様と、喝アゲやポン引きをするチンピラだけど全く掏れた感じがしない若者の恋物語は現実離れをしているんですが、吉永・浜田が似合っていて、納得感があります。メロドラマというよりファンタジーで~す。

雪山でのシーンでスカート姿で臨んだ吉永小百合は、1日中撮影を続けるうちに足がちぎれるほど冷たくなって感覚がなくなり、撮影終了と共にスノーボートでホテルまで運ばれたとのこと。