週に一度は西部劇

先週はウェイン&ホールデン北軍を扱った『騎兵隊』だったので、今週はウィドマーク&ホールデンの南軍を扱った『アルバレス・ケリー』(1966年/監督:エドワード・ドミトリク)を再見。

南北戦争末期、アルバレス・ケリー(ウィリアム・ホールデン)は2500頭の牛をメキシコからバージニアまで運んできます。北軍のステッドマン少佐(パトリック・オニール)にワーウィック牧場で牛を渡しますが、南軍のロシター大佐(リチャード・ウィドマーク)が牛の横取りを計画。牧場の女主人チャリティ(ヴィクトリア・ショウ)の策略でケリーはロシターに誘拐されます。ロシターは北軍から受け取った牛の代金をまきあげ、牛の強奪に協力するようケリーに強要。ケリーはロシターの婚約者リズ(ジャニス・ルール)と仲良くなり、戦争に嫌気のさしたリズをイギリスに逃がしてロシターの鼻をあかします。ロシターは怒り狂いますが、牛の強奪計画の前にケリーを殺すわけにいかず……

ウィリアム・ホールデンがカウボーイに見えないのが難点ですが、南軍の騎兵隊に牛を扱う技術を教えこむ訓練の前後はなかなか面白いです。クライマックスでの3隊に分けた牛の大群を暴走させて北軍の守備隊を突破するシーンは迫力満点。

頬に深い傷痕、黒いアイパッチのリチャード・ウィドマークは持ち味が出ていてグッド。対立する二人が共通の目的のために次第に友情が芽生えていくというパターンは西部劇の定番ですが、わかっていても楽しめるのは、西部劇としての骨格の確かさにあります。満足できる作品です。

主題歌をブラザース・フォアが歌っているのですが、西部劇の主題歌を集めたオムニバスCDにも、ブラザース・フォアのCDにも収録されていないんですよ。ブラザース・フォアには、「遥かなるアラモ」や「北京の55日」といった映画主題歌のヒット曲がありますが、これは残念ながらヒットせず、B面の「ジョン・B号(の遭難)」の方が有名なくらいです。当時は、西部劇の主題歌といえば、マカロニ・ウエスタンに圧倒的な人気がありました。「牛追いの歌」に似たフォーク調な歌より、エレキとトランペットで奏でるマカロニの方が時代にあっていたのでしょうな。