週に一度は西部劇

BSシネマで放送された『誇り高き男』(1956年/監督:ロバート・D・ウェッブ)を再見。心理ドラマとサスペンスの要素を加味した本格西部劇。

鉄道が開通し、テキサスから牛が運ばれてきて賑わいをみせるカンザス州フラットロックの町に新しい酒場が開店します。経営者のバレット(ロバート・ミドルトン)は悪党で、様子を見にきた保安官キャス(ロバート・ライアン)は、イカサマ賭博を見破り銃撃戦となり頭に負傷します。その時、キャスを援護したのが、キャスに父を殺されたサッド(ジェフリー・ハンター)でした。キャスは頭の負傷の影響で、時々失明状態になります。バレットはキャスがいる限り荒稼ぎできないので、殺し屋(ロドルフォ・アコスタと後年イタリアB級映画で活躍するケン・クラーク)を雇ったり、市長に圧力をかけたりしてキャスを追い込みますが、キャスは「逃げよう」という恋人サリー(ヴァージニア・メイヨ)の言葉を振り切り、キャスへの誤解が解けて保安官助手となったサッドと共にバレット一味と対決。

法の手に父をうばわれたサッドの複雑な心境と、かつて恋人のために誇りを棄ててバレットがいる町から逃げ出したキャスの心境という心理ドラマと、失明状態になるというサスペンスがこの作品の持ち味ですが、掘り下げ方が浅く今イチの感があります。だけど、細かな所まで気をつかっているのは、好感が持てます。キャスが丸腰の男を射殺したと思ったら、その男は手に銃を握っており、キャスはサッドに撃鉄の音を聞いたと言うんですね。その前に、銃の撃鉄を起した看守(ウォルター・ブレナン)にキャスが振り向くシーンを見せており、さらにラストでのサッドのバレット逮捕の伏線になっています。全体的には淡白な仕上がりですが、西部劇らしい西部劇といえます。

ところで、映画よりも有名になったのが、ライオネル・ニューマンの主題曲です。スリー・サンズのカバーが大ヒットしましたが、口笛だけのオリジナルも良いです。意外と知られていませんが雪村いづみも日本語でカバーしていま~す。