見逃していたテレビ時代劇

録画していた時代劇専門チャンネルのオリジナル『吹く風は秋』を観る。藤沢周平の“橋ものがたり”の中の一編。

壺振り師の弥平(橋爪功)は老境になり、郷愁にかられて江戸に帰ってきます。若い頃に亡くした女房と暮らしていた住まいは、今は他人の家。女郎屋の前で夕焼けを眺めるおさよ(臼田あさ美)が、どこか死んだ女房と重なり1泊を共に過ごします。おさよは夫・慶吉(波岡一喜)が迎えにきてくれると思っていますが、慶吉は自分の女房を女郎屋に売って、他の女と博打に明け暮れている悪い奴。弥平は親分(岩松了)を裏切って江戸から逃げた経緯があり、弟分の徳次(杉本哲太)に頼んで、親分に詫びをいれます。親分が弥平に出した条件は、博打にくる不仲の親分(鶴田忍)の有り金をイカサマで全部まきあげること。壺振りから足を洗おうとしていた弥平にとって気のそわぬ仕事でしたが……

アクションシーンは金をまきあげた親分の手下に襲われるところしかありませんが、丁寧な作りでリアルなものになっています。サスペンスとしての盛り上げ方もうまく、ラストのオチも清々しくて、気持ちよくしてくれてグッド。新作時代劇が殆ど作られなくなった現在、貴重な作品といえま~す。