懐かしの東宝アクション

録画していた『狙撃』(1968年・東宝/監督:堀川弘通)を再見。加山雄三がイメージチェンジしたハードボイルド・アクションです。

松下徹(加山雄三)は大学時代射撃部で腕をならした狙撃手。学生時代の親友で今は銃の密売をしている深沢(岸田森)から銃を手に入れ殺し屋稼業。射撃場で知り合ったモデルの章子(浅丘ルリ子)と深い仲になります。章子は蝶のコレクターで彼女の夢はトリバネ蝶の収集にニューギニアに行くこと。花田(藤木孝)の依頼で密輸団の金塊強奪に加わり、襲撃に成功しますが、密輸団が雇った殺し屋・片倉(森雅之)が花田一味を殺し、松下も狙われます。片倉は章子を人質にして松下を呼び出しますが……

冒頭の新幹線に乗っている乗客を狙撃するシーンが印象的。狙撃の後の陶酔と虚無感が主人公の全身をつきぬけていく重要なシーンなのですが、加山雄三の演技は今イチ。浅丘ルリ子はこの映画にマッチしており、東宝女優にない魅力を出しています。小沢昭一が密輸団の中国人ボス役で、サリー・メイが片倉の愛人役で出演していたのを再見して気づきました。堀川弘通のスタイリッシュな演出が効果をあげており、邦画特有の泥臭さがなく、良質なハードボイルドといえま~す。