週に一度は西部劇

DVDで『リオ・ブラボー』(1959年/監督:ハワード・ホークス)を再見。孤立した保安官がわずかな仲間とともに壮絶な戦いをして勝利するという、『真昼の決闘』のアンチテーゼとしてハワード・ホークスが作った痛快西部劇。

リオ・ブラボーの保安官チャンス(ジョン・ウェイン)がジョー・バーデッド(クロード・エイキンズ)を殺人現行犯で逮捕すると、ジョーの兄で、その地方のボスであるネイサン(ジョン・ラッセル)は多勢の部下を動員して町を封鎖し、ジョーを引き渡せと脅迫。チャンスの味方は、保安官助手のアル中のデュード(ディーン・マーティン)と、牢番のびっこの老人スタンビー(ウォルター・ブレナン)だけ。幌馬車隊長(ワード・ボンド)が助勢を申し出ますが、素人は不要といってチャンスは断ります。しかし、幌馬車隊の護衛の若者コロラド(リッキー・ネルソン)がチャンスを助けたことから味方に加わり、チャンスたちは敵と敢然に対決。そこには、『真昼の決闘』のクーパーのような悲愴感は全くありません。

この作品は、ジョン・ウェインの最もウェインらしさが出ていますな。アメリカの正義を背負って立つ男の象徴みたいなね。貫禄といい、動きといい、バランスがとれています。この作品以降になると、体重が増えて動きが重くなっていきますからね。服装のスタイルも確立しました。1960年代のウェインの恰好は、殆どこの服装スタイルです。それに武器がライフルというのもウェインらしくていい。拳銃だとオモチャに見えるんですよ。『駅馬車』でジョン・フォードがウェインにライフルを渡し、ホークスがライフルさばきを完成させた感じです。

女賭博師フェザーズ役のアンジー・ディキンソンも良いネェ。当時、脚線美女優として売り出していましたが、セリフに難のあった彼女をホークスは、「アンジーはセリフを、それから懸命に逃れようとするかの如く早口で言う癖があったので、私は彼女の演技スタイルを少しスローダウンさせた」と語っています。演技的にも上達し、この作品で一躍ハリウッドに注目されるようになったんですね。美脚だけでなく、“モナリザ・スマイル”と呼ばれる彼女の微笑も素敵で、私の好きな女優の一人です。

保安官事務所でディーン・マーティン、リッキー・ネルソン、ウォルター・ブレナンが歌声を聴かせ、ウェインがにこやかに見ているという私の大好きなシーンがあるんですが、この作品を最初に観たのはテレビの洋画劇場で、歌は吹替できないということで保安官事務所での歌のシーンは見事にカットされておりました。完全版を観たのは、ずっと後のことでしたが、カット版もそれなりに面白かったです。最初に観た時からずっと、私にとって『リオ・ブラボー』は、何度観ても楽しめる西部劇になっていま~す。