懐かしのピンク映画

DVDで『情事の履歴書』(1965年・国映/監督:若松孝二)を観る。過激な政治メッセージと暴力的な性描写で“ピンク映画の巨匠”と云われた若松孝二の初期の大ヒット作。

縫製工場の社長・村田が殺され、妾の西口加代(千草みどり)が警察の取り調べを受けるところから始まります。刑事(小嶋一郎)の尋問で加代は自分の過去を吐露。三人のチンピラに強姦され、東京に出てきた加代は売春婦になり、売春宿の手入れで警察に捕まります。更生して勤めたところが村田の工場。肉体関係の恋人ができますが、村田に自分の過去を脅され、妾になります。村田の借金のために町金融の大西を誘惑。大西とも肉体関係になり、金を貢がせます。村田が殺された時、加代は元学生運動家の愛人と一緒だったというアリバイがあって容疑が晴れ、現場に大西の指紋が残されていたことから大西が犯人として逮捕されます。

千草みどりが雪の中を全裸で走り回り、雪で身体を洗うというシーンが話題になった作品。若松監督にスカウトされた千草みどりは、この一作だけを残して、ピンク映画を去った珍しい女優。体制側の刑事の意識構造やサラリーマンとなった元学生運動家の姿を通して社会批判しているところに若松孝二らしさが出ています。

ピンク映画というのは、10分間隔ぐらいで絡みのシーンがあり、その部分だけカラーになるのが特長でしたが、この作品はピンク映画初期のものでカラーシーンはありません。

それにしても、ナショナル・キッドの小嶋一郎が出ていたのにビックリ。