週に一度は西部劇

DVDで『エル・ドラド』(1966年/監督:ハワード・ホークス)を再見。先週の『リオ・ブラボー』と同じ構造を持っている西部劇です。主人公がいて、アル中の保安官と保安官助手の老人、それに若者が仲間に加わるという構造。似たような構造を持つのに、この後『リオ・ロボ』があり、これらを総称してハワード・ホークスのテキサス三部作と呼んでいます。似たような作品を作ったことに対してホークスは、「もし映画を一本つくり、それが一番儲かったのなら、人がそれを好んだということであり、同じ映画の別の版をつくりたくなるものだ。それに、監督が自分の好きな物語を撮り、その出来上がった映画を見て、よくこう言う。『今度もう一回やったら、もっとうまくやる』とね。だから、私はもう一度やった。違う方法でまたやり続けるつもりだ」と語っています。

でもって『エル・ドラド』ですが、ガンマンのコール(ジョン・ウェイン)がエル・ドラドの町にやって来たところから始まります。水の利権をめぐってマクドナルド(R・G・アームストロング)と争っている牧場主のジェイソン(エドワード・アズナー)に雇われたのですが、旧友で町の保安官をしているハラー(ロバート・ミッチャム)から悪いのはジェイソンの方だと教えられ、もらった前金を返却しにジェイソンのところへ。金を返して立ち去る時、背中を見せないように馬を後ずさりさせて敷地を出るシーンに本物の西部劇を感じますよ。

帰る帰途、敵と間違えて撃ってきたマクドナルドの末子ルーク(ジョニー・クロフォード)を撃ってしまい、姉のジョーイ(ミシェル・ケリー)が待伏せしてコールを狙撃。負傷したコールは医者のミラー(ポール・フィックス)から応急処置を受けますが弾丸が背骨近くに残ったまま半年が過ぎます。敵討ちをする若者ミシシッピジェームズ・カーン)を助けた酒場でコールは、ジェイソンに雇われてエル・ドラドへ行くというガンマンのマクロード(クリストファー・ジョージ)から、ハラーが酒浸りになっていることを教えられ、ミシシッピを連れてエル・ドラドへ。マクドナルドの息子がジェイソン一味に撃たれ、コールたちはジェイソンと対決。

いざというときに銃を持つ手がしびれてしまう主人公、投げナイフの名手だが射撃はからっきしダメで、ソードオフ散弾銃をやたらにぶっ放して味方まで傷つけてしまう若者、ラッパを吹いたり弓矢まで使う老人、アル中からの回復に苦しむ保安官、敵となるのがプロの仁義をわきまえたガンマンといったように、『リオ・ブラボー』の二番煎じを防ぎながら、ユーモアを交えて面白く仕上げています。だけど、『リオ・ブラボー』と比べるとキャスティングが今イチ。特にウェインの恋人役のシャーリーン・ホルトは、アンジー・ディキンソンと比べて魅力不足。その不足を補っているのが、馬を走らせ、ライフルを放つおてんば娘のミシェル・ケリーなんですけどね。老人役のアーサー・ハニカットは下手な役者じゃないんですが、ウォルター・ブレナンのような味わい深さはありません。

ところで、この作品では、『リオ・ブラボー』で撮影したフィルム(『リオ・ブラボー』では使わなかった)も使われているんですよ。でもって、『エル・ドラド』のフィルムは、『ラスト・シューティスト』(1976年/監督:ドン・シーゲル)の冒頭のジョン・ウェインのフラッシュ・バック(ジョニー・クロフォード少年がウェインに射たれるシーン)で使われていましたね。悲劇から開始するという、『エル・ドラド』における印象的シーンでもありました。

音楽を担当したのはネルソン・リドル。ジョージ・アレクサンダーが主題歌を歌っています。